下川裕治氏の新刊『一両列車のゆるり旅』の発売を記念したトークショーの話し

今週のお題「読書の夏」

はてなブログの今週のお題は「読書の夏」ですね。そんなお題にぴったりなイベントに先日足を運んでみました。

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旅行作家・下川裕治氏の新刊『一両列車のゆるり旅』の発売を記念して、西荻窪の旅の本屋のまどにてトークショーが開催されました。

一両列車のゆるり旅 (双葉文庫)

一両列車のゆるり旅 (双葉文庫)

 

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下川さんの作品といえば東南アジアをはじめとする海外の旅行記で有名ですが、日本国内が舞台の作品とは珍しいです。過去には沖縄が舞台の作品はありますが、日本国内の列車の旅は初めてではないでしょうか。

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さて、この作品。ただの列車の旅ではなく、一両列車、いわゆるローカル列車に乗って駅前旅館に泊まるという旅だ。治安は良いし、言葉も通じる国内なのに意外と難しい旅と語る下川氏。

何が難しいかというと、「周囲の冷たい視線にいかに耐えるか」なんだそうだ。ローカル列車は高校生の通学のために残されているようなもので、ここに延々と乗るのは普通の人ではない。普通の人はもう少し速い列車に乗るのが世間の常識。

実際に乗車してみると「この人なんだろう?」という視線に晒せれる。女性なら「失恋したのかな?」男性なら「仕事がなくなったのかな?」など、いろんな憶測の視線に耐えて旅をしなくてはならず、一両列車のローカル線の旅は精神的にキツイんだそうだ。

そんな視線から耐える方法を下川氏が伝授!
それは、「鉄っちゃんを装う」という方法なんだとか。なんだか笑えてきますね。

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そして「一両列車の旅は飽きる」と下川氏。それは、とにかく速度が遅いということ。こういう旅がいいなと思っているのは2時間までだそうで、そこにはダイナミックに変わっていくわけではない日本の風景という事情がある。海外だと自分の意識が変わる。だから海外はゆっくり行かなきゃという思いがあると語る下川氏。
 
しかし、下川氏はその豊富な経験をもとにこう語る。
「飽きは重要」
旅はこれに耐えること。海外を1、2ヶ月ほど旅をしていると旅が日常になり飽きる。毎日ご飯を食べてバスで移動して「何しにきたんだろう」みたいになる。それが日本だから飽きが早く来る。それでも旅の本質は飽きた先」にあるんだそうだ。

そこで見えてくるものは海外も日本も同じ。快感になるのは、駅にして200。時間にすると2日目のお昼を越えたあたりからランニングハイみたいななんともいえない感覚になるそうだ。

なお、この感覚は友達に話しても誰も分かってくれないと語る下川氏。これには思わず笑ってしまいました。

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そして、当ブログ筆者の僕は今アジアの旅をしていますが、昔アジアをバックパックスタイルで旅をしていた人に向けて下川氏が語ってくれました。

「昔アジアの旅をやったけど最近できないな」という人が手軽に旅の本質、醍醐味を感じたかったらローカル線の旅をやって2日目くらいに昔の旅を意識のなかで蘇ると語っていました。
 
「どこどこの旅が好きです」「どこどこの絶景を見に行く」それらの旅を否定しないけれど、もうひとつの世界の旅がある。知った人は幸か不幸か別次元の旅がある。それは自分しか評価できない。
 
グッと心に響く一言を下川氏の口から聞けました。
 
トークはその他行く先々で泊まる駅前旅館の話しや、カメラマンの中田浩資氏の写真を元に取材先での話しを丁寧にたっぷり2時間弱伺うことができて、とても楽しく過ごすことができました。

*  *
今週のお題「読書の夏」という視点で見ると、この本はピッタリな気がしてならない。それは舞台が地方だからだ。もっとも都心でローカル一両列車は走っていないから、必然的にそうなるのだが、夏というと幼少期に帰省した田舎のイメージが蘇ってくる。やはり日本の夏といえば地方の田舎なのだ。僕はこの本を読んで今日も夏を過ごしている。 
一両列車のゆるり旅 (双葉文庫)

一両列車のゆるり旅 (双葉文庫)

 

下川裕治 スライド&トークショー
日時:2015年8月7日(金)19:30〜
参加費:900円
場所:旅の本屋のまど 東京都杉並区西荻北3-12-10 司ビル1F

旅の本屋 のまど

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