メーター改造と故障詐欺!やはりベトナムのタクシーは一筋縄にはいかないのか?

ホーチミン滞在:2016.05.06〜09

僕はすっかり油断をしていた。

ベトナムのタクシーは悪質なタクシーが少なくない。それでもタクシーに乗るとき、大手のタクシー会社、マイリンとビナサンの2社を選べば間違いないことは知っていた。それでも車体に2社のいずれかのステッカーを貼った、偽物のタクシーが存在することも知っていた。それなのに悪質なタクシーに乗車してしまうとは、それまでの快適すぎたベトナム旅に気がゆるんでいたのだろう。

 
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昼下りの出来事

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それは日差しがきつくなる昼下がりの出来事だった。ステンドグラスが綺麗な教会、サイゴン大聖堂を出ると、ちょうど目の前に現れたビナサンタクシーに手を挙げ呼び止めた。今思えば観光名所にいるタクシーは怪しかったが、そんなことは頭の片隅から消えていた。

助手席のドアが開くと、僕はなんの疑いもなく乗り込んだ。

「ベトナムのタクシーは後部座席ではなく、助手席に乗るんだったっけ?」

そんなことは気にもとめなかった。ゆっくりとシートに腰をかけ、行き先を告げる。運転手は男性で、年の頃20代半ばから30代前半だろうか。体格のいい明るい男だった。
 

故障するタクシーに乗車

 

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◇白の車体のビナサンタクシー(写真のタクシーは今回の出来事と関係がありません)

「どこから来たの?」
「日本だよ」

運転手の質問になんの疑いもなく答える自分。振り返れば日本という答えもいけなかったかもしれない。その後タクシーは2〜3分ほど走っただろうか。大きな交差点を3回は曲がったはずだ。僕はふと目の前のメーターに目をやると、見たこともないくらいのスピードでメーターの数字が回転していることに気づいた。

「あぁ、これがメーター改造詐欺のタクシーか」

メーターの金額はたかが2〜3分の距離で、40,000ドンを指していた。さてどうするか。とりあえずタクシーから降りよう。だが、その前にメーターの写真を撮りたい。そう思い、バッグの中からカメラを取り出そうとしたその時だった。

車はガクンガクンと何回も前後に揺れ、運転手はハンドルを右にきりながら路肩に停まった。

「故障してしまった」

悲しそうな表情をする運転手。メーター改造に加えて故障か。これはちょうどいい。故障ならこのまま去ればいいと思った。助手席のドアにロックはしていなく、僕は外へでようとした。しかし、運転手はここまでの運賃を払えと要求してきた。冗談じゃない。故障したなら運賃は受け取らず、他のタクシーに乗り換えて下さいと言うのが筋だろう。というのは、僕が勝手に思っている筋で、ここは一筋縄にはいかないベトナム。しかも相手は詐欺なのだ。

それでも僕は支払いの拒否を主張した。金額の問題ではない。目的地の5分の1にも達していないこともそうだったが、運転手の対応に釈然としなかった。すると運転手は半分の20,000ドンでいいから払って欲しいと言う。ならば仕方ない。故障した車を思えばそれくらいいいかと思えた。となるのが、今までの詐欺運転手の手口だったのだろう。

僕はカメラを取り出すときに、エンジンをきる仕草が一瞬横目に入っていたのだ。走行中にエンジンをきり、ポンピングブレーキを強めにかけながら停まれば、いかにも故障したように見える。ちょっとでも車の運転をしたことがある人なら、その仕組みは分かるはずで、僕から見たら大根役者っぷりに苦笑いをするしかなかった。

 

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運転手とのやりとり


僕と運転手の交渉は車外の歩道へと移った。すると運転手はポケットから携帯電話を取り出すと、ベトナム語で脅すように何かを話している。その聞き取れない言葉のなかから、ポリスの一言だけを聞き取ることができた。どうやら警察に電話をすると言っているようだ。面白い話しだ。詐欺師が警察に電話をするのか。やれるならやってみろ。詐欺で捕まるのは運転手の方だろう。だが、そこもベトナム。大して調べることもなく無賃乗車で捕まる可能性もあるわけで、警察を呼ばれたら正直面倒くさいなと思った。

まあ、いいや。なるようになれと思っていたが、運転手は耳に携帯電話をかざすものの、電話はかけるフリで終わった。すると業を煮やしたのか、激高しはじめる運転手。こういうときは冷静に笑みを浮かべながら丁寧に説明をすればいい。僕はこれまでの経緯と自分の思い、譲れない主張を優しく語りかける。言葉は日本語だ。下手な英語よりも、相手に伝わらない日本語を永遠に喋り続けた方がよさそうな気がした。

すると、運転手は呆れたのか冷静になったのか分からないが、諦めて1人車内へと戻った。運転席に座りドアを閉めると、ブルルルンとエンジンがかかる音がして、タクシーは走り去ってしまった。やはり故障などしていなかったのだ。

 

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◇緑の車体のマイリンタクシー(写真のタクシーは今回の出来事と関係ありません)

感想


ベトナムでタクシーに乗るのは初めてではなかったが、メーター改造や故障詐欺のタクシーの存在はすっかり忘れていた。それは、ある程度相場が掴めているバイクタクシーばかりを選んでいたのに加え、あまりにも快適すぎたベトナム旅に気が緩んでいたのだろう。金銭的や、傷害などの被害にはあわなかったが、ここで気を引き締めろよと言っているようにも感じた。それにしてもベトナムは旅して元気を貰う側面もあるが、元気をとられる側面もある。簡単に言うと疲れたの一言。あぁ、やっぱり一筋縄にはいかないところがある。

最後に筆者から

メーターの改造に気づかなければ、目的地で多額の運賃を請求されていただろう。乗車してすぐに気づいた僕の姿を見て、運転手は急遽故障したフリをしたのかもしれない。つまり今回の詐欺は、メーター改造と故障の二段階攻撃。こうしてあまり走行もせず、近距離で外国人から小銭を稼いでいるはずだ。そして乗車して聞かれた「どこから来たの?」の答えを想像すると、同じ出来事に遭遇して被害にあった日本人も少なくないのだろう。今回の出来事は昼間の大通りだったのでこのような対応をしたが、夜の裏道などで遭遇したら違った対応をしたはずだ。なにせ金額は100円程度なのだから、痛い目にあわない方がよい。

今回の出来事
乗車場所:サイゴン大聖堂前
タクシー会社:ビナサン。車体からは本物に見える。
運転手:20代半ばから30代前半の男性。体格がよく、明るい印象
被害額:0円
乗車時間:2〜3分で40,000ドン表示
詐欺方法:メーター不正改造+故障詐欺
運転手との交渉時間:約12分

  

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