【韓国】仁川の中華街でチャジャンミョンと日本人町を巡る旅

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韓国へ訪れたら食べてみたい料理があった。それはかつて韓国でいちばん人気の麺「チャジャンミョン」だ。日本において国民的ヒットな中華といえばラーメンだと思うが、韓国の国民的ヒットな中華はチャジャンミョン。まだ韓国のほとんどを知らない自分でも知識だけはあった。そのチャジャンミョンはソウルの街中や広蔵市場などの屋台でも食べることはできたが、どうせならそれらしい所で食べてみたい思いがあった。ネットで調べてみると仁川(インチョン)に中華街が存在していた。僕はソウルの喧騒を一時離れ、仁川に行ってみることにした。

 

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仁川の場所

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ソウルから電車で1時間ほどの仁川は港町でもあり、日本でいったら横浜にあたるだろう。ともに中華街があるところも共通点がある。


◇ソウルと仁川の位置関係

仁川の中華街

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仁川の中華街は駅を降り、そこから延びる坂道の周囲に中華料理店が連なっている。坂の上り口には赤く塗られた門が見えた。中華街ではここ韓国でもお馴染みの光景だった。

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◇仁川は韓国人に人気の観光地。訪れたのは平日でしたが、週末は多くの人出で賑わうそうです

人気の共和春

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多くの客が出入りする「共和春」という中華料理店があった。元々は中国からやってきた人向けのホテルだったが、チャジャンミョン人気に乗って中華料理店になったようだ。そのチャジャンミョンだが、ルーツはどこからだろうと調べてみると、旅行作家の下川裕治さんの著書に辿り着いた。

仁川港は1883年に開港した。そこで働いていた中国人労働者たちが、中国の山東風の麺料理を食べていた。それがチャジャンミョンのルーツのようだった。山東省は黄海を挟んだ仁川の対岸である。

下川裕治 著 『週末ソウルでちょっとほっこり』 より

僕は中国に行ったことはないが、日本でも口にするジャージャー麺と発音がよく似ている。だから渡航前はジャージャー麺を韓国で言うとチャジャンミョンなんでしょ? と思っていたが、どうやらその中身は同じではなく、似ている部類になるらしいのだ。

チャジャンミョンを食す

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中華街の中心部に近い、ある一軒の中華料理店で足がとまった。それは店先の看板に掲げられたチャジャンミョンの写真が見えたからだ。

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チャジャンミョンは韓国風味噌だれを使用した料理。見た目は真っ黒なことは知っていた。店内を覗くと数人の客の姿が見えた。まあ、間違いはないだろう。足取り軽く入店してみた。

メニュー

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メニューを開くと「炸醬麺」の文字が見えた。中国語でジャージャー麺だ。ということはチャジャンミョンとジャージャー麺はやはり同じ料理なのか。一瞬頭がこんがらがる。

チャジャンミョンの正体

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注文したチャジャンミョンがテーブルに運ばれてきた。見た目は想像通りに真っ黒である。普段真っ黒な料理は、イカ墨パスタくらいしか口にしない気がする。

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その真っ黒なタレと麺を上手く絡ませ箸ですくい上げる。麺は若干太目で、まるでパスタのようだ。それは太さだけではなく、麺の長さもパスタ並だ。だから麺を口に運ぶとなかなか終わることはなく、歯で噛み切ることになる。

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そこでチャジャンミョンと一緒に出てきたハサミの出番となる。長い麺を切るためのハサミはその使用方法が分からず、食べ終える頃にそうなのかと気づいた。

チャジャンミョンの味

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さて、チャジャンミョンの味は想像よりも甘めの味付けだった。これは韓国風味噌だれにキャラメル味を加えているからだ。これがジャージャー麺の韓国風アレンジなのだ。具材はタマネギと豚ひき肉に細かく切られた芋とかいわれが盛りつけられたシンプルさだ。下川さんの著書にも書かれているが、朝鮮戦争が終わり、経済復興の軌跡を走る時代に寄り添っていたのがチャジャンミョン。子ども好みの甘めの味付けと安さがヒットの要因のようだったらしい。料金は一杯5,000W。日本円で約500円の会計に頷けた。

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◇付け合せのタマネギに付ける味噌だれもやはり甘め。しょっぱさはたくあんだけです

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仁川の日本人町

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チャジャンミョンを食べ終えると、仁川の街を歩いた。駅から続く坂を真っ直ぐのぼっていくと丘の頂上に広がる公園に出る。その公園を右手に向かって坂道を下ると、街の国籍が変わる場所があった。地面は石段になっており、右側が中国式の石柱、左側には日本式の石灯籠が並んでいた。

話は140年ほど前に遡る。朝鮮への圧力を強めていた日本は、江華島事件を機に、日朝修好条規を結ぶ。1876年、明治9年のことだった。このとき、仁川港は開港される。

そこで日本は仁川に租界をつくる。欧米は日本の横浜に居留地をつくった。その手法を仁川にあてはめていったわけだ。

それから9年後、中国、当時の清が仁川に租界をつくる。清もまた、自国のなかに租界をつくられていた。南京条約によって、イギリス、フランスとアメリカは上海租界をつくった。

日本も清も、自らの国に外国人が暮らす一画ができあがっていた。そのやり方で、仁川に租界をつくっていったのだ。

下川裕治 著 『週末ソウルでちょっとほっこり』 より

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下川さんの著書にも記述されていたが、仁川駅から歩くと、はじめに中華街があり、その奥に日本人町跡がある。しかし港から眺めてみると、正面に日本の租界があり、その奥に中国租界ができた位置関係になるのだ。これは非常に面白い光景を見られたなと満足した。

日本人町の木造家屋

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石段を下り左手に向かうと、かつての日本人町の木造家屋が保存されている。1階はカフェや会社などが入っているが、どこか地方の城下町を歩いているようで居心地が良かった。

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◇人力車に招き猫。紛れもなく日本です

旧日本総領事館

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1933年に建てられたかつての領事館は、ロマネスク様式が生かされた建物で、80年以上の歴史がある。壁面の一部がタイル装飾になっているのが見どころか。現在は仁川市の中区庁舎として機能している。

旧日本18銀行

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1890年に建てられた日本18銀行の仁川支店。長崎市に本店を置く銀行らしく、僕はこの旅で18銀行の存在を知った。韓国独立後は国営銀行として利用され、今は博物館として仁川開港などの様子を伝えていた。

旧日本58銀行

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旧日本18銀行の隣にある建物が、大阪に本店を置いていた日本58銀行の仁川支店。開業は1892年で、安田銀行などを経て、韓国独立後は銀行や赤十字の施設として使用されたようだ。レンガ組みの石板仕上げの外観は異国的な雰囲気もあるが、どことなく租界から植民地へと進めていった日本の権威のようなものも感じる。

日本と韓国そして中国

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日本と韓国。韓国を旅するとき、避けられない事実がある。政治の世界では厳しい言葉のやりとりが続いている。今回仁川を訪ね、日本人町を目の前にしたとき、違和感というか、悩んでしまったことがあった。

それは下川さんも自身の著書のなかで言っていたが、韓国にとって屈辱の年月だったはずの植民地時代に建てられた日本家屋を、観光地として残していることだった。埋められない溝、それを飛び越えた韓国の人々の心理。

旅を終え、再度下川さんの著書に目を通すと、あることを知った。それは仁川は日本が進めた植民地支配の拠点らしく、仁川からソウルまで続く鉄道を建設したのは日本だったのだ。僕はその電車に乗って仁川にやってきた。

韓国の中華街と日本人町。つまり韓国と中国と日本があるのが仁川の街だった。異国情緒と語るには、まだ歴史は冷えていないのだろうか。よく分からないが、そんなことを考えさせられた仁川のチャジャンミョンと日本人町を巡る旅だった。

仁川への行き方
アクセス:ソウル地下鉄1号線で仁川駅行きに乗ること約1時間。仁川直通がなければ、九老駅で仁川駅行きへ乗り換え
運賃:1,950W

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週末ソウルでちょっとほっこり (朝日文庫)

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