脳裏をよぎるダメ人間?何もしないサメット島での過ごし方

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タイの首都バンコクから南へ約200km離れたサメット島にいる。サメット島はタイ人に人気のリゾート地。バンコクの喧騒から逃れ、週末は島の風を浴びるのがステータスになっている側面もある。

 

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僕がサメット島を訪れるのは三度目だ。初めて感じた島の風に魅了され、すっかり気に入ってしまった。
 
「せっかく旅に出るんだから、他の場所へ行けばいいのに……」
 
旅を趣味とする友人の台詞だった。
 
僕の旅は初めて訪れた後の二度目、三度目からが重要だと思っている。観光を終えたその土地が退屈に感じるようだと、ここは合わないなとなる。だから気に入ると何度でも訪れてしまう。それは東京に居ても同じだった。店主がいい、客がいい、味はいい、値段もいい。これらはすべて酒場の話しだが、新たな場所を開拓しない性分は、ブログを書く身としては失格なのかもしれない。
 
季節は9月。バンコクは雨季の終わりを告げるかのように、強い雨が街を洗っていた。その一方でサメット島は南国特有の強い日差しが連日降り注ぎ、天気は快晴そのものだった。そんなサメット島に観光スポットなどはない。あるのは美しい海と青い空、そして白い雲と豊かな緑だけ。遅い朝食を摂ると横になり、海で泳ぐとビールを飲んで昼寝をする。そして夕焼けを見たら食事をし、オープンバーでタイ特有のバケツに入った酒を浴びる。ベッドに潜るのは必然的に深夜だった。
 
ダメ人間かもしれない……。
 
一瞬脳裏をよぎった。
 
だが島はそれでいい。いや、旅はそれでいいと頷いた。
 
日々の仕事から逃れ、異国の島で何もしない旅。僕はバンコクの喧騒から逃れたタイ人と何ら変わらないのかもしれない。
 

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島には僕以外のタイ人が3人、計4人での旅になった。旅の経緯は前稿を読んでもらうとして、1人でも4人でも島での一日の過ごし方は何ら変わらなかった。変わるのは食事とアルコール。一人で食べるか、皆で食べるかの違いだ。豊富な料理をシェアでき、皆で食べる食事は楽しいと感じる。ただ単に腹を満たす作業ではないからだ。一人の旅を忘れ、ゆるりとした時間が食卓に流れた。
 

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食事はビーチ沿いのレストラン。大きなテーブルに寝転べるソファが並ぶ。もしも一人旅だったら少々腰が引けてしまう空間だ。料理は島だけあってシーフードが豊富だが、チキンやポークの肉類から、トムヤムクンスープなど辛いタイ料理も豊富だ。
 
だが、旅を共にするタイ人女性は辛いタイ料理が苦手だった。
 
「私辛いの苦手なんです」
 
流暢な日本語でそう話す。
 
実は辛い料理を苦手とするタイ人が結構多いことに、旅をするようになって気づいた。その傾向は都心で生まれ育った人に多いのかもしれない。伝統的な辛いタイ料理より、チキンライスのカオマンガイや米麺のクイッティオなど、自然とタイ中華料理を口にしているのだ。一方でそれが北部となると、鍋料理のチムチュム、ひき肉のラープ、パパイヤサラダのソムタムなど、辛い料理が食卓に並ぶ。旅に同行している別のタイ人男性は北部出身。辛い料理が得意だった。
 

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レストランでは夜の8時と10時にファイヤーショーが開催される。ビーチ沿いのレストランでは名物だった。鍛え上げられた上半身裸の男性達がステージに立ち、ロープに括り付けた二つの火の玉をグルグルと回す。時には炎を体にくっつける演出でビーチを賑わしていた。その様子にレストランで食事をしない多くのギャラリーもビーチに集まり、スマホのカメラをステージに向けては拍手喝采。最後は人間花火を披露してショーは終了した。ギャラリー達の心を掴んだ男性達が、チップをせがみに各テーブルを周るのが恒例だった。

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◇ファイヤーショーのラストは人間花火。圧巻です

 

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食後は決まってオープンバーへ移動した。タイ特有のバケツに入ったカクテルを皆でシェアする。料金は400バーツ(約1,200円)。4人いれば1人100バーツの計算になる。これは安い。だがそれがいけなかった。バケツはまるで火災時のバケツリレーのごとく、次から次へと運ばれる。そこへ酒の苦手なタイ人女性に飲めよ飲めよと女性の彼氏が迫る。本当に彼氏か? 一瞬目を疑ったが、彼女は酔いつぶれ、路上で吐き続けた。当然である。
 
「私酔っ払ってないよ」
 
ぐでんぐでんの口調で言った台詞は、酔った人が言う台詞の特徴。これはタイも日本も同じだった。

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◇ウオッカベースのカクテル、ロングアイランドアイスティーをバケツで飲めば一発で効きます


ところで以前当ブログで、タイを旅する日本人は昔と違って、バケツの酒を片手に騒がないなどと書いたことがあったが、少し訂正をしなければならない。
 
いたよ、ここに。
そう、自分のことである。
 
騒ぎはしていないものの、バケツの酒を片手にビーチに流れる音楽に身を預けていたら、何だか不安になってきてしまった。
 
いい年齢をして、こんなんでいいのだろうか……。
 
やっぱり僕は典型的な日本人なのかもしれない。そして旅人になりきれないのかもしれない。いや、純粋に歳を重ねただけかもしれなかった。そう思うとバケツの酒を一気に飲み干し、空を見上げた。するとそこには一面の星空が広がっていた。東京では決して見ることのできない景色。そんなサメット島の夜空に感動した。
 
いいんだよね、こんな旅で……。
 
心のなかでそっと呟きながら、寝床にしている宿へ帰った。

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