ルアンパバーンの托鉢|1日の始まりは功徳をつむ行為で始まります
市街地全体が世界遺産の街、ルアンパバーンの朝は早い。まだ夜が明ける前、暗闇の中で人々が動き出す。それは仏教における托鉢があるからだ。托鉢とは出家者の修行のひとつで、街を歩き家々を巡っては、食糧などのお供え物を僧に託す行為だ。人々が先祖に届けたいお供え物を託せば、自分の代わりに先祖に届けてくれる。これが托鉢だと認識している。また、人々のためになること、つまり功徳をつむ行為によって、幸せになれると信ずる側面もある。そんなルアンパバーンの托鉢も含めて「世界遺産」と呼ばれる街を朝から歩いてみた。
小学校前の托鉢
時刻は午前5時50分、辺りはまだ暗闇に包まれるなか、街の中心を走るシーサワンウォン通りを歩き、小学校の前に行くと托鉢の準備は整っていた。歩道に並べられたゴザの上にカラフルで、まるで風呂場にあるような椅子が多数並んでいた。まだ見ぬ托鉢の儀式だが、ここが見てそれと分かった。そのゴザの前では、僧へのお供え物を販売している。ルアンパバーンの朝が早いのは、僧や信者、そして観光客だけではなく、商売人も一緒だった。
僕が事前にインターネットで調べた情報によると、5時30分頃から始まると認識していた。しかし、いつになっても始まる気配はなく、近くの屋台でホットコーヒーを飲んでいると、突然オレンジ色の僧衣を身にまとった僧が現れた。そして地元の人に加えて、見てそれと分かる観光客の姿もある。
観光客にとっては珍しいこの光景も、地元の人にとっては毎朝の行事。手元に置かれたもち米を器用に手にとっては、僧が持つ籠の中に入れていく。
それにしても、ただ淡々と粛々と進む托鉢の儀式。その儀式に参加する観光客を見ていると、どうもしっくりこない自分がいる。それは「托鉢ショー」を見ている気分になったからだ。これも含めて世界遺産なのだから、大切な観光収入なのは理解できるが、さっき見た歩道に並んだゴザも、きっとツアー会社が用意したものなんだろう……と思っていると、心にグッとくるものがなくなっていた。
◇小学校前付近の托鉢スポット
ワットマイ付近の托鉢
僕は翌朝も托鉢を見に行くため早起きをした。場所は昨日見た小学校前ではなく、シーサワンウォン通りにあるワットマイの近くにした。理由はただ単に観光客がいなく、想像していた地元の人の功徳をつむ行為を見たかったからだ。
するとこれが正解だったようで、勝手に描いた想像通りの光景を見ることが出来た。きっと昔から続けている朝の儀式なのだろう。1人のお婆さんが僧にお供えしている様子が見て分かる。それは昨日小学校前で見た、淡々と粛々と行われる様子と少しの違いもなかったが、お供えをする観光客も、またその様子をカメラに収める観光客のどちらもいなく、あぁこれがルアンパバーンの托鉢だよなと納得をした。
◇僧が通り過ぎた後は、もち米の入った桶を頭に掲げています
◇ワットマイ付近の托鉢スポット。プーシーの丘が目の前です
最後に筆者から
僕は最近思うことがある。アジアの仏教における「功徳をつむ」行為に、少し考える所があると思っている。例えば無数の人に食事を提供してあげたり、物を提供する行為。それは善行(功徳)を積めば極楽行きと仏教では言う。だからと言って極楽へ行ける欲のためだけに功徳を沢山つめば、業欲になるのではないだろうか。つまり謙虚で素直な心をもてば極楽へ行けるのではないだろうかと言うことだ。
そしてラオスからの帰国後に見たミャンマーの街を紹介するテレビ番組で、やはり功徳をつむ行為で、知人や見知らぬ人々に無料で食事を提供する女性のインタビューがあった。
「近所の人や子どもたちも喜ぶし、知らない人同士の出会いの場になるんです」
功徳をつむ行為を仏教の視点で言うと、極楽、幸せ云々という話しになってくるが、ミャンマーの女性の発言に、僕なりの功徳をつむ行為と、今後のこうありたいと思うヒントがあったように思えた。これもルアンパバーンの托鉢を見なかったら、その後のテレビ番組でも感じなかったかもしれない。やはり旅はしてみるもんだ。改めて思ったことだった。
ルアンパバーンの托鉢
場所:シーサワンウォン通りの小学校前とワットマイ付近
時間:午前6時10分頃 / 1月上旬
見どころ:僧の行列写真を撮りたいなら小学校前。素朴な托鉢シーンを見たいならワットマイ付近
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