【熱海】ギター片手に「男の料理 居酒屋 錦」で満面の笑みと涙がホロリ
熱海でどうしても行ってみたい居酒屋があった。店の名は「男の料理 居酒屋 錦」だ。ネットの口コミを見ると、こぞってマスターの人柄がよいという文字が液晶画面を踊る。店名の「男の……」から想像すると、厳格で目に見えない暗黙のルールが細かくあり、初めて足を踏み入れるには、くぐる暖簾が少々重たい気がした。しかし一度決めた心は揺るがない。勇気を出して暖簾をくぐると……。笑顔と思わず涙が溢れた夜となってしまった。
場所
「錦」の場所は、熱海駅から徒歩15分。宿泊したゲストハウスマルヤからは、徒歩3分の場所にあった。この地域は元々遊郭の一帯で、熱海のなかで一番賑わいを見せる繁華街だ。
ビールとお通し
訪れた時間帯は土曜の21時過ぎだった。実は20時頃店内を覗くとカウンターは満席。座敷は空いていたものの、一見には敷居が高く、他で食事を済ますと再び訪れた。すると前客は帰ったらしく、空いてるカウンターの席に座ることができたのだった。食後で腹は満たされていたものの、冷たい生ビールで喉を潤す。お通しはなめ茸が乗った冷奴が出てきた。なめ茸の塩分が冷えたビールのアテにちょうどいい。
料理
料理は「まぐろのぬた」を頼んだ。食後に訪れたお腹には、このくらいがちょうど良かった。そして僕はぬたが好きだった。ネギぬたや貝のぬたなどは、居酒屋に入ると必ずと言っていいほど注文する料理だった。それが熱海となると、やはり海鮮どころのまぐろがしっくりときた。
◇ビールのアテにピッタシなまぐろのぬた。ハイ、おいしいです
他にもメニューを見てみる。すると、お腹が空いていればな……と思わすメニューが並ぶ。それは、価格帯にあった。店の触れ込みにもあったが、ほとんどのメニューが500円のワンコイン内で食べられることだった。男の料理錦は、財布に優しい居酒屋だった。
色んな客層
僕が食後に訪れ、料理をほとんど注文しなかった理由もあるが、この店は料理よりも客層に目がいってしまった。観光客、地元の人、息子に紹介されてきたお母さん、昨日初めて来た客の再訪など、色んな客が絶えない。そしてどの客に対してもブレないマスターの接客。それは男の……から想像する厳格なイメージとは真逆の、笑顔で冗談が絶えない距離感の近い接客だった。
マスターのギターで歌う夜
酒がすすむと、カウンターの上に置かれた1枚の紙に目がいった。
「マスター、この歌詞みたいのなんですか?」
「じゃあ、やってみる?」
そう話すと、マスターは得意のギターを片手に歌いだした。
錦集う友の歌に疲れ忘れて宴に酔えば
笑いころげて涙はらはら
夢のなる木に花が咲く
ミディアムテンポの心が和む曲は、常連さんが作った詞に、マスターが曲をつけた作品で、店のテーマ曲だった。
「イェーイ!!!!」
良かった。ほんとに良かった。僕は錦に入れたこともそうだが、ネットの情報で仕入れた得意と言われるマスターのギターと歌が聞きたかったのも、この店に来たかった理由のひとつだった。
だが、歌はこれで終わらなかった。間髪をいれずギターの音色が溢れると、カウンターの中にいた女将さんが突然歌い出した。
出会った頃の二人に
も一度戻ってみよう
そして二人で手をつなぎ
しあわせになろうよ
静まり返った店内に女将さんの声が響き渡った。曲は長渕剛の「しあわせになろうよ」。これはズルい。女将さんが突然歌い出すとは思いもよらなかった。しかも歌詞が「出会った頃の二人に……」なんて、夫婦仲の良さを表すような歌詞をメロディに乗せて、堂々と歌い出すなんてズルいじゃないか。そんな愛情溢れた演出を見せられ、なぜか僕は思わず涙が溢れてしまった。
料理は食べていないが、ビールは沢山飲んだ。涙は酔った酒のせいか。いや、違う。たった数時間の滞在だったが、僕は評判通りのマスターの人柄に涙してしまったんだ。明るくて、冗談が好きなマスター。その一方で、さりげない心遣いを見せる一面もある。周年パーティーのこと、店を開くきっかけのこと、人との付き合い方、昔やっていた野球のこと、色々話しを伺っていると、マスターには失礼かもしれないが、僕と少し似ている部分を感じて親近感が沸いた。
そんなマスターは60代で名前はジョージさん。以前は米屋をやっていたが、その昔店を開くにあたって女将さんは反対されたそうだ。
「米屋やって年金貰ってれば経済的には安心だけど、つまらなかったと思う。今、物凄く楽しいもん」
笑顔で話す言葉が印象的だった。そしてしみじみと僕に語りかける。
「ほんと、お客さんに恵まれている。お客さんのおかげで僕はやってられる」
錦のファンはもの凄く多い。それはホテルで開催された周年記念パーティーの動画を見せてもらって分かった。地元の人はもとより、東京をはじめ、遠方から錦を目当てに訪れる人が多いのだ。そうだよな、飲食店ってそうだよな。近くても嫌な店なら行かないし、好きなら遠くたって足を運ぶもんな。そんな事を改めて考えさせられた夜だった。
最後に筆者から
「男の料理……」その店名から一瞬腰がひける思いもあったが、一歩足を踏み入れるとマスターの対応に、その不安は吹き飛んだ。一見さんでも常連のように対応をしてくれ、冗談を連発。また、得意のギターを片手に、熱海の静かな夜に響き渡った音色。そして時折見せる真面目な話し。マスターと会話をしていると、とっても楽しいのだ。
そんな楽しさから滞在時間は3時間。その割には料理が全く出てこない記事になってしまい、飲食店記事としてはダメダメな感じは承知しているが、取り急ぎマスターの人柄に惚れたのと、追記の続編をお約束して、この記事は一旦締めさせていただきたいと思う。あぁ、熱海って楽しいな。
男の料理 居酒屋 錦
住所:熱海市中央5-2
TEL:0557-82-2491
営業時間:17時〜0時
定休日:木曜日
追加記事:2018年8月再訪しました
2018年8月、約2年振りに再訪した。前回は食後に伺ったせいで、男の料理をほとんど口にすることができなかった。だが、今回は食事を兼ねて訪問。名物のメンチカツ(500円)を注文。肉厚で旨し。評判通りの味に納得した。
そして酢飯チャーハン(500円)もまた旨し。お酢の酸味が効いたチャーハンは初めて口にしたが、さっぱりとした味わいは、暑い夏にピッタリ。
「ウチのはちょっと甘いよ〜」
と言って出てきたのは、だし巻き玉子(500円)。ほんのり甘い玉子は優しい味。男の料理……それは優しさも教えてくれたのであった。
◇錦の場所とゲストハウスマルヤとの位置関係
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