ルーツは伊勢うどん?絶品!ホイアン名物カオラウ食べ比べ
ホイアン滞在:2016.05.03〜06
今回のベトナム縦断の旅は北部のハノイから始まった。旅をしていると、その土地々々の名物料理に出会うことがあり、またそれを楽しみにしているところもある。旅の出発地点ハノイでは、ハンバーグが入ったつけ麺のブンチャーがとても美味しかった。そのブンチャーは、後にハノイへ歴訪したアメリカのオバマ大統領が口にして世界中に発信されたのは記憶に新しい。
旅はハノイから南下しフエへ。そのフエでも海老のすり身を使った料理のバインベオやバインナム。また、麺料理のブンボーフエがフエ名物料理として存在しており、いずれも僕の舌を唸らせた。
そして今回滞在しているホイアン。そのホイアンにも名物料理は存在していた。それは麺料理の「カオラウ」だった。噂に聞くとカオラウは日本の汁なしうどんのようだと言うではないか。日本で汁なしうどんと言えば、かつて訪れて口にした香川県の釜玉うどんを思い出してしまった。熱々のうどんの上にネギと鰹節、さらに生姜もあった気がする。そこに生醤油をさらっとかけ、箸でぐちゃぐちゃに混ぜて口へ運んだ釜玉うどんはとても美味しかった記憶がある。果たしてカオラウとはどんな料理なのだろうか。
庶民的なカオラウ
まず1軒目に訪れたのはドゥボン川の西側にあるCao Hong Lanh通り沿いにある庶民的な店舗。大きな通り沿いにあり集客力もありそうだが、訪れた時間帯が昼どきを大きく過ぎており客は僕だけだった。
席につくと早速テーブルに運ばれてきたカオラウ。丼に盛られたその姿は噂通りに汁なしうどんのようだが、丼の底に少々の汁が見える。箸でつついて味見をすると、ほんのり甘めの味がする。それは麺つゆのような甘さではなく、たまり醤油のような甘さだ。
◇ベトナムのチリソースは絶品。さらに唐辛子をちぎって、ライムを一絞り。色々な味が楽しめます
うどんの上にはパクチーなどのたっぷり野菜と豚肉などが盛られ、これらを卓上に置かれたスパイシーな調味料を好みでかける。そして箸で豪快に混ぜると食べる準備は整うという具合だ。
気になるうどんのような麺は小麦麺で、日本のうどんとなんら変わらない食感だ。そのうどんに少々の汁と自らかけた調味料がうまく絡みついて美味い。パクチーなどの野菜とも相性が良いではないか。これは気に入った。ベトナム旅は食事が美味くて本当にいい旅をさせてもらっているなと、しみじみしてしまった。
庶民的なカオラウ店
場所:日本橋を渡り、Nguyen Thi Minh Khai通りを直進。十字路を左折してCao Hong Lanh通り右手の店舗
料金:25,000ドン(約117円)
◇カオラウを食べた店舗の場所
レストランのカオラウ
すっかりカオラウを気に入ってしまった僕は、連日昼はカオラウとなってしまった。前回食べた店が普通の飲食店ならば、今回はちょっとだけレストラン風の店構えだ。
◇通りにでかでかと掲げるカオラウの看板
やはりレストラン風なだけあって、盛り付けがちゃんとしている印象だ。前回の店より豚肉の量は多めだが、野菜が少ない感じがする。
◇好みの調味料をかけ、混ぜるとこんな具合になります
味の違いはほとんど変わらないものの、やはり野菜が少ない。ベトナム料理の決め手のひとつに野菜が重要だと思うのは気のせいだろうか。逆に野菜嫌いで、肉食の人には何か物足りないのがベトナム料理という気もする。
レストラン風なカオラウ店
場所: Hai Ba Trung通りとThai Phien通りの交差点。ホップイェンホテルから徒歩2分
料金:35,000ドン(約164円)その他:夜は酒場として大変賑わう
◇レストラン風なカオラウの店の場所
ビーチのカオラウ
もう1軒、カオラウを食べた場所がある。それはビーチのレストランだ。ホイアンには自転車で行けるビーチがあり、滞在中に1度だけ訪れたビーチで食べたカオラウは、街で食べたものと一味違っていて印象的だった。
それはスープがたっぷりと入った汁ありカオラウだったからだ。豚肉もそれまでの大きくスライスされたものではなく縮れており、なんだか味噌ラーメンに入っている豚肉のようだ。緑の野菜は飾られた程度のパクチーとレタスのみ。その代わりにもやしが大量に入っているではないか。これには味噌ラーメンへの思いが一層強くなる。
うどんのような小麦麺。これは変わりがないように感じるが、スープはそれまでの甘めの味と違い、ピリ辛が前面に出ていて、ほんのり甘いという具合だ。全く味噌の味はしないものの、食べている感覚は味噌ラーメンのようで美味い。汁ありカオラウの感想も黙って頷くしかなかった。しかし、料金はというとそこはビーチのレストラン価格で60,000ドン。街で食べるより約2倍もするが、日本円なら280円ということで、味のクオリティ含めてここのカオラウは合格を出したいと思う。
ビーチレストランで食べたカオラウ
場所:クアダイビーチ
料金:60,000ドン(約280円)
◇ビーチレストランの場所
最初にカオラウの話しを耳にしたとき、僕は釜玉うどんを思い出してしまったが、どうやら伊勢うどんがルーツという話しもある。その話しは日本人町が形成されていた17世紀前半に遡り、朱印船貿易時代の伊勢商人・角屋七郎兵衛が持ち込んだという説だ。
伊勢といえば、くしくも2016年5月に先進国首脳会議の伊勢志摩サミットが開催された場所だ。これはいいタイミングでカオラウを食べたなと満足気になったが、帰国してからまだ食べたことのない伊勢うどんを調べてみると、白いうどんに濃い目の汁はカオラウそのもので驚いてしまった。異国でカオラウを知り、帰国して伊勢うどんを知る。だから旅はやめられない。
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