【横須賀】山ガールには負けない!汐入谷戸地区山登りを音楽で振り返る

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2016.08

京急汐入駅近くにあるヴェルニー公園周辺の散策を終え、再び汐入駅へ。駅の近くにある大衆食堂の一福で昼食を済ますと、汐入駅の裏手にある山の住宅街「谷戸地区」へ向けて歩き出したishikawaさんとやかんと僕の3人。その模様を脳裏に流れてきた音楽と共に振り返りたい。

 

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まずは横須賀市立汐入小学校の裏手側、住所でいうと汐入町2,3丁目付近の散策から始まった。まず目の前に現れたのは、横須賀名物と言っても過言ではない、急勾配な坂だ。正月恒例の箱根駅伝では、「箱根の山を制するものは、天下を制す」などと言われるが、この街では、「横須賀の山を制するものは、生活を制す」と言ってもよいだろう。この街と共に暮らすということは、山と付き合っていかなければならない。

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◇塀の隙間から撮影をするishikawaさん。その先に何が見える?

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階段を登り始めてから5分もかからなかっただろう。それでもこの景色だから、勾配のきつさに納得をした。こちらの山の向こうには別の山が見え、その間を生活道路が走る。俯瞰から見ると、改めて横須賀は平地の少ない街ということが分かる。

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また、別の場所から海の方へ目をやると、港に停泊する軍艦が見え、その手前に赤い車体が特徴的な京急線が見えた。僕は鉄ちゃんではないと思うが、鉄道を見るとカメラに収めたくなるのだ。これは撮り鉄の軽い症状なのだろうか。

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◇汐入駅から南へ続く商店街の様子

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山を降り、商店街に出ると、そそられる路地を発見した。僕は細道や路地裏が好きだったが、 ishikawaさんもまたそんな道が好きだった。住所でいうと、汐入町5丁目だ。その道を奥へ進むと、そこは汐入の静かな住宅街。耳に入る音は蝉の声だけだった。

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その住宅街を歩くと、山の上にある長光寺への参道が見え、さらに進むと突然古い銭湯が現れた。銭湯の名は「亀の湯」。入口で男女別に別れているから、おそらく昔ながらの番台があるタイプの銭湯だろう。今度はここでひとっ風呂浴びてから、どぶ板通りで一杯も悪くない。

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さっきの山から見えた京急線の線路に出た。しかしここで疑問があった。山の上から見えた京急線は高架を走っていたはずだが、ここは地上。汐入の駅からそんなに離れていないのに、京急線自体も急な勾配を走っているのだろうか。汐入駅のホームは2階だから、今居る場所の方が駅の位置より高いということか。

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◇線路の左右どちらを見てもトンネルなんです

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◇今も現役?踏切の側にある米屋の建物がいい味出してます

そんな京急線の疑問はサラッと流し、再び山を登ることになる。位置は背中に京急線、左手に横須賀線で、向かう方面はちょうど港の方だった。早速山の階段を登ろうとしたその時だった。ishikawaさんが履いていたサンダルを脱ぎ捨て裸足になった。isLogのファンなら分かると思うが、彼は裸足で地面に触れていたい人間なのだ。地面と常に接しているのは足の裏だけだから、入口が絞られていることで、濁りの少ない振動が伝わるそうだ。

彼は言う。
「音は振動だ」と。

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◇その足裏から何が伝わっているんだい?

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◇歩く。登る。その先に何があるのか?

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◇君達の足裏からは何が伝わっているんだい?

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山を少し登れば深い色合いの緑が目の前に溢れてくる。この日は風もないから木々が揺れる音もしない。耳を澄ませば聞こえるのは蝉の声と、たまに聞こえる鳥の鳴き声だった。そんなとき脳裏に流れた音楽は、ヴァイオリンのG線のみで演奏できるこんな曲だった。 

G線上のアリア/千葉純子(ヴァイオリン)、浦壁信二(ピアノ)

G線上のアリア

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ishikawaさんのisLog 『裸足で地面に触れていたい』はこちら!!

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少し休憩をしては山を登る。その繰り返しだった。僕は元々山登りはそんなに好きじゃなかった。東京近郊なら高尾山や大山くらいで、富士山は一度も登ったことがなかった。山は登るより、遠くから眺めている方が好きだった。しかしこの山だけは違う気がした。登山道ではなく生活道路だから道案内の看板もない。「あっ、この道いいな」と階段を登れば民家の軒先だったり、山登りの視点で見るとしんどい事も楽しく感じた。

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この山が楽しく感じることに、僕自身に興味があるということも大きな理由だった。リアス式海岸のように谷が入り組んでいる地域のことを「谷戸」と呼ぶのだが、この横須賀も谷戸と呼ばれていた。そして谷戸地区の5軒に1軒が空き家となっていることから、空き家問題が横須賀市の課題だった。以前訪れた広島県尾道では、やはり横須賀と似た山と海の距離が近い街だったが、空き家問題もまた似た境遇だった。その後NPO法人尾道空き家再生プロジェクトが立ち上がり、尾道市と協働して「尾道市空き家バンク」を運営するまでになった。ゲストハウス好きには、細長い商家を生かしたゲストハウス「尾道ゲストハウス あなごのねどこ」は有名なことだろう。

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この山に勝手に興味を持ち、勝手な言い分は承知しているが、尾道のように山をロープウエイが走り、台湾の九份のような街にしたら楽しいなと思ってしまう。都心から行くと、宿泊と日帰りの微妙な距離感も九份と似ている気がする。または、行ったことはないが、ボリビアのラパスのような街もいいかもしれない。建物の色合いを統一するだけでも人は惹きつけられる。

汐入には軍港めぐりで、はとバスツアーも組まれているし、猿島にも多くの観光客が押し寄せるが、人の波はすべて海だった。可能性はある。もう少し目線を山に向けてもいい気がするのだが。

digjapan.travel

 

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◇山から突きつけられる選択。人生と似ている?(撮影:ishikawa氏)

階段を登ったやかんが降りてきては口を開いた。

「裸のおじいさんがいました」

そう、ここは生活道路。裸でいようと構わない。お邪魔しているのは僕らの方だった。 


そんな谷戸地区で脳裏に流れた曲は「亜麻色の髪の乙女」。ゆるりとした時間が流れるが、実際には乙女はいなく、裸のおじいさんだったことは忘れよう。

亜麻色の髪の乙女/アラン・プラネス

亜麻色の髪の乙女

亜麻色の髪の乙女

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◇山道はまだ続く。てっぺんを目指して

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どうやらこの辺りで一番高い場所に来たようだ。眼下には木々の合間から横須賀の港が見える。物凄くいい。これを見れただけでも山を登った甲斐があった。もし、この山に住むなら海が見える場所がいい。やはり海は見下ろした方が良かった。山は遠くから眺めるのが好きな僕にとって、海を見るなら山を登らなければいけなかった。何かを得るには、何かを捨てて克服しなければいけない。この山が教えてくれた気がした。

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下山する途中、地面に水を撒く住人の男性に出会った。

「ここから見る景色は綺麗でしょ。花火大会も見れるよ」

そうか、海が見えるということは、横浜の花火も見えるということ。こんな素敵な街の山から海と花火が見えるとは……。想像しただけで胸が踊ってしまう。

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◇目に青葉、山ほととぎす。汐入の風に魅せられ、花火は彼方へ

帰りは山を降りるのみ。汐入駅前広場の近くまで来たとき、ishikawaさんが口を開いた。

「下手な山ガールより、山登ってますよ」

そう、今回の谷戸地区散策のルートは、ひたすら歩けば30分もかからないと思うが、階段を登っては民家の軒先に出て戻ったりと、2時間も歩いてしまった。おかげで翌朝、太ももとふくらはぎが筋肉痛になってしまったが、横須賀汐入谷戸地区の自然に触れたあとの爽快感に加え、ビールの美味いこと美味いこと。そんな酒場の模様は次回につづくが、谷戸地区の登山を終えて酒場に向かうとき、脳裏に流れた曲はこんな曲だった。
 

行進曲「威風堂々」第1番/スロヴァキア放送交響楽団 & エイドリアン・リーパー

行進曲「威風堂々」第1番

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つづく
 

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◇今回の大体な位置関係


ishikawaさんのisLog 『横須賀市汐入町の高台散策』はこちら!! 

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三浦半島さんぽ (散歩の達人MOOK)

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横須賀ジモト飯 (ウォーカームック)

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