貫き通すしかない社会人の長期海外旅行 〜アラブ人街と関西人の夜〜

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バンコク滞在:2015.12.28〜2016.01.02
 
年越しをバンコクで過ごす旅。今回はナナプラザ周辺と、ちょっと怪しいアラブ人街をぶらりと歩いてみたら、旅を趣味とする社会人の悩みに直面した。

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眠らない街ナナプラザ

 

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タイと言えばゴーゴーバーを想像する人も少なくない。そのゴーゴーバーが小道に並ぶ「ソイカウボーイ」はスクンビット界隈に位置するが、モール型のゴーゴーバーと言えば「ナナプラザ」だろう。ナナプラザはBTSナナ駅から徒歩5分、スクンビット4通りに位置している。3階建のナナプラザはその全てにゴーゴーバーが入居しており、店舗数は約30軒とも言われている。建物の造りはコの字型になっており、中央のスペースがバービアと呼ばれる酒場スペースになっている。

ステージ上で踊る美女やニューハーフを鑑賞しながらお酒を楽しむというスタイルは日本で言うとショーパブの部類だ。そこでお目当ての子がいれば席に呼び、お酒をご馳走し、さらに気に入ればムフフな展開となるのがゴーゴーバーだ。
 

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客層は圧倒的に欧米人が多いが、以前来た時には日本人の大学生風男子グループが、数人のニューハーフを引き連れ、肩を切って歩いている姿を目撃した。いわゆる「イケイケ」な姿に、こうしてひとつ大人になっていくのかと思ったもんだった。バンコクへ訪れる学生パッカーは節約旅行を貫き通すが、ゴーゴーバーは行きたがる。ドリンクの料金は1杯150バーツから200バーツほどでそこまで高くはないが、カオサン通りで25バーツのパッタイをすすり、1泊180バーツの安宿に泊まる姿とのギャップを考えると結構愉快だ。

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◇今回の位置関係

 

ちょっと怪しいアラブ人街

 

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ナナプラザをあとにすると眼と鼻の先にあるアラブ人街へ来た。アラブ人街はソイスクンビット1/3に位置しており、一歩通りへ入ると雰囲気は変わりアラビア語の看板が目に入る。

 

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僕はアジアの旅をするようになり、「何処何処なのに、何々人街」みたいな街は結構好きで行くようにしているが、王道なルートを旅していれば、嫌でも中華街やインド人街にはたどり着く。

しかし、今回は「アラブ人街」だ。このアラブ人という表現がとても広すぎてイマイチ分かりづらい。調べてみるとどうもアラビア半島や西アジア、北アフリカなどのアラブ諸国に居住していて、アラビア語を話し、アラブ文化を受容している人を指すらしい。例えば有名人を挙げてみると、カルロスゴーンやウサーマビンラーディンもアラブ人というから、実業家からテロリストまで、やはり広すぎてイマイチ分からない。
 

アラブ人街の日本人


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そんな独特な雰囲気を感じるアラブ人街で食事を摂ることにした。目当てはカレーだ。僕はタイのカレーよりインドカレーの方が美味いと思っていて、タイに来てタイカレーを食べることはほとんどない。

青い照明が特徴的な一軒の飲食店に入ると店員に席を案内された。そこは男性1人で食事をしているテーブル席。店内は満席で相席となった。目当てのチキンカレーを注文すると向かいに座る男性が持っているスマホを差し出し話しかけてきた。

「食事をしている姿を写真撮ってくれませんか?」

なんと向かいに座る男性は日本人だった。年の頃は50代前半だろうか。名前はXさん。話を聞いてみると旅を続けて30年というから20歳頃から旅を趣味としている様子だ。住まいは大阪で、会社に勤めながら旅を趣味とする関西人のリーマンパッカーだ。

そんな関西人の目には昔、成田空港がとても魅力的に映ったそうだ。大阪には国際線の離発着便が少なく、海外へ渡航するには大阪から東京へ出て、さらに東京から成田空港へ移動し、やっとの思いで機上の人となることができた。それでも旅の魅力を考えたら疲れなんか吹っ飛んだそうだ。その後の関空の開港は、きっと関西人の旅の負担を軽減させたことだろう。

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注文したチキンカレーが運ばれてきた。皿から溢れんばかりのチキンに付け合わせのキュウリ。こちらは緑色の辛いタレをつけて食べる。インド料理でカレーといえば「ナン」のイメージがあるが、どうやらナンを食べるのは北インドだけのようで、南インドになるとライスが一般的のようだ。一方、向かいのXさんはマトン料理を食べている。

「実はこの近くで美味いステーキの店があるんですよ。そこに行こうと思っていたら、この店も気になって入店しちゃったんです。もう腹一杯でステーキは食べれません」

一人旅の食事は色々なメニューを楽しむことができない。永遠の課題だが、分かって来ているから仕方がないとXさんは言う。さらに食事に関して言うと、Aという街に出かけ、B店は開店しているものの、C店は閉店していることがある。すると次回の旅ではC店を目指して出かける。だから30年間旅をしていても飽きない要因のひとつとも言えるそうだ。

「本読んで昼からビールを飲む西洋人の旅ができないんですわ」

朝から晩まで毎日出かけてしまう性格で疲れてしまうんだとか。Xさんの話を聞いていると僕の旅は随分ゆっくりしているもんだと思う。バンコクに来て数日しか経っていないが、たいしたところには出かけておらず、西洋人なみに昼からビールを飲む生活をしている。


話はつづく。Xさんがバンコクに来たのは12月19日で31日には地元の大阪に帰り、新年は自宅でのんびりと過ごすそうだ。有給休暇と冬季休暇を利用した年末に旅をするスタイルをここ4年続けているそうだが、もう今年で辞めようかとXさんは言う。

「会社の目が気になるんですわ」

それでも4年続けているから本当に気になっているのかツッコミたくなるが、旅が趣味とする会社員はこのスタイルを貫き通すしかないとXさんは言う。

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日本人には働くことを美徳とするアイデンティティがあるから、例え有給休暇という権利を行使しても、病気以外で休むことを悪とする風潮がある。くだらないと思う。働くことの美徳とする部分は否定はしないが、休暇を利用し世界を見てくるヨーロッパスタイルを理解してくれる日本人はあまりいない。

我が社では有給休暇の取得は容易な方で、祝日を絡めた年に数回の長期旅行を実現しているが、小言をしつこく言う厄介な人物も存在した。僕の場合は出勤と休暇を管理する人物にその現状を訴え、休みに関して小言を言われることはなくなりストレスは減った。こうして会社員が長期の旅行を実現するには、全く気にしないことか、ひとつひとつ潰していくしかないのが日本の企業に勤める旅人の現状だと思っている。

旅の本質は他人に自慢するほど特別なことではない。ただ、自分にとってはどこか特別な存在であることと思って旅を続けた方がいいと思っている。旅はしないよりした方がいい。数年前まで国内ばかりを旅していた僕の想いだ。

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食後はXさんのススメで紅茶を頼んだ。いわゆるチャイだ。これが結構美味しかったのだが、チキンカレーはイマイチな味だった。チキンの量が多い反面、カレーのルーは少なくライスとのバランスも悪い。カレーはやはりマレーシアが美味しいと言う話をXさんにすると、中華料理もインド料理もタイよりマレーシアが美味いと言う。分かる気がした。ついでに言うとマレーシアを拠点とするエアアジアの機内食でナシレマが出るなんて面白いと笑顔で話していたのが印象的だった。

そんなXさんは支払いの段階になり、

「ここは何かの縁だから僕が支払います。その代わり関西人に会ったら優しくしてあげてください」

と話し、僕の飲食代金260バーツを支払っていただいた。ご馳走になったこともそうだが、なによりそのセリフにとても泣けた。

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「今度からはヤワラー地区の奥の静かな場所に泊まりますわ」

と言うと、昔からバンコクで宿泊の拠点とするスクンビット地区へXさんは帰っていった。会社の目は気になるものの、Xさんはやっぱり来年の年末もバンコクで過ごす気がしてならない。小言を言われようと、周りの目が気になろうとも、旅を趣味とする社会人パッカーは貫き通さなければならない宿命なのである。


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