ハノイからツアーバスで行く!世界遺産のハロン湾と世界一周の日本人
ハノイ滞在:2016.04.28〜30
ハノイから東へ約170キロの位置に世界遺産のハロン湾がある。その湾内には大小合わせて約3000もの奇岩や島々が存在しているという。確かネットで見た記憶では、青い空に緑豊かな島々と、力強い岩肌を露出した奇岩。海は波がなく穏やかな写真を見たことがあった。そんなハロン湾の日帰りツアーに、宿泊したアリババホテルの1階にあるツーリストオフィスで申し込んだ。ツアーの内容は船で食事をするか、シーカヤックはやるか、などのオプションを聞かれて料金は決定。当日は朝8時15分にアリババホテルでのピックアップとなった。
- マイクロバスでハロン湾へ
- ハロン湾に到着
- 船内で昼食
- 世界一周をする日本人
- ハロン湾特有の島々
- ボートのオプション
- ゴリラ岩
- 洞窟の見学
- フェリーツアーは終了
- 最後に筆者から
- ハロン湾の様子を動画で公開しました
マイクロバスでハロン湾へ
◇迎えに来たのはマイクロバスです
◇入口近くの席に陣取ります
バスはしばらく走るとハノイ市街地を抜けた。すると橋の上で大渋滞に巻き込まれてしまった。この手の渋滞は事故だろうなと思っていたら、案の定事故だった。しかも大型トレーラーの前面はペッタンコで、一部は橋から落ちてしまったように見える。このバスは無事にハロン湾まで到着することを祈る。
◇ベトナムの田園風景を見ながらバスは走ります
◇バスが出てから約2時間30分後、おみやげ屋で休憩。休憩時間は25分です
◇休憩を終えて再びバスが走ると、車窓の景色は海に近くなってくる
ハロン湾に到着
朝の8時15分に出たバスは約4時間後の12時過ぎにハロン湾に着いた。バスを降りるとベトナム人のガイドが待ち受ける。色々説明をしているが、英語なのでさっぱり分からない。それでも船に乗るのに、名前や年齢、出身国などのサインをしてから船に乗り込むことが分かった。
前方にいた人から順にサインを終えると自分の番に回ってきた。僕はサインを一通り書き終え、用紙の上段にふと目をやると男性の日本人の名前を発見した。
「あれっ、日本人の方ですか?」
「そうです」
なんとハノイを出発したマイクロバスに日本人が乗車していたのだ。車内を見渡す限り欧米人だらけのツアーに日本人が乗車していたとは。バスの中で知り合っていたら、退屈な車中もまた違っていただろう。
話しを聞いてみると、彼の名前はワタナベさん。30代中頃の男性で、上海から世界一周を始めたばかりだという。上海からは深セン、そして香港をビザのため経由して、再び中国へ。途中の街を経由すると、バスでベトナム・ハノイへ入ったそうだ。ハロン湾には宿泊したホテルのスタッフに勧められるがままに来たそうで、来てみたかった僕の意気込みとは若干温度差がある。
◇湾内には無数の船が見える
2人で会話をしていると、乗船の準備が整ったようだ。今回僕が申し込んだツアーの料金は、洞窟の見学を入れて27US$だった。これが安いのか高いのかよく分からない。どんな船に乗るのか不安でもあり楽しみでもあった。
◇割りと普通な船に乗るみたいです
船内で昼食
船に乗りデッキを歩くと食堂室が見えた。そうか、港を出発して奇岩や島々に着くまでに食事を楽しむということだな。このツアーに納得できた。
「これはいい。ワタナベさん、一緒に食事しましょうよ」
「いいですね」
意気は投合して席についた。しかし、ガイドが僕の名前を呼んでいるではないか。どうしたことかと思えば、食事の料金を支払っていないと言う。なんだ、ベトナム特有のぼったくりかと一瞬脳裏を過ぎるが、ツーリストオフィスで食事なしのプランを申し込んだことを思い出した。これには理由があって、バスの所要時間が4時間もかかるとは思わず昼時の到着を考えていなかったこと。もうひとつはハロン湾に着いたら、食堂がズラリと並ぶ光景を勝手に想像していたことだ。しかし、バスが着いた場所に食堂などはなく、すぐに船に乗り込んだ。これは食事を摂らない理由がない。ガイドに喜んで追加の食事代80,000ドンを払う約束をした。
◇船内の食堂の様子
出てきた料理はライス、炒り玉子、厚揚げ、2種類の野菜炒め、さらに白身の魚だった。それらは船上で食べる豪華な食事というよりも、どこかベトナムの家庭料理の匂いがする料理だ。これらの料理を僕とワタナベさん、そして向かいに座る知らない3人組と取り皿によそいながら食べる。
◇メインの白身の魚は臭みがなく美味しかった。ハロン湾で捕れた魚だろうか
世界一周をする日本人
食事を終えると僕はワタナベさんとデッキの上でしばし休憩をすることにした。
「会社を辞めて世界一周する周りの反応はどうでした?」
「親はビックリしてましたが、どうせやるんでしょ?みたいな反応でした」
話しを聞いてみると、元々会社を辞める予定はなく、休業扱いにしてもらう約束を数年前からしていたそうだ。しかし、その日が近づくとなぜか会社は休業扱いを認めなくなり退職の道を選んだ。
「世界一周をやる年齢には遅いんですけどね」
と話すワタナベさんだが、その準備は入念だった。安価なドミトリーが苦手な理由もあって貯蓄は十分。不安な言語は英会話学校に通ってカバーした。それでも海外経験は昔から趣味としていて豊富だった。それだけにトラブルに遭遇した体験も豊富だ。
例えばタイ・バンコクのチャオプラヤー川で偽のボートに乗り、川の中程で多額のお金を要求されたこと。当然支払わなければ岸へは帰してくれない。また、バイクタクシーの男に騙され、多額の料金を要求する飲食店に行ってしまったことなど、どれもガイドブックで見たやつだと後から気づくらしい。これらのエピソードを愛嬌たっぷりに話すワタナベさんは、世界一周の道中でもなんかしらのエピソードと付き合っていく旅にきっとなるのだろう。
ハロン湾特有の島々
僕達が会話を楽しんでいる間に船は進む。目の前にはハロン湾特有の島々が見えてきた。天候はあいにくの曇り空だが、波や風の音が一切しなく、ただ船のエンジン音だけが聞こえる。清々しいとはまさにこのことだと感じた。
ボートのオプション
◇船はどこかの島に停泊した。なんだ?
どうやらこの島でシーカヤックかボートに乗るオプションがあるようだ。どちらも選ばない人は船で待機する。ここは2人ともボートに乗ることで意見が一致。別料金の130,000ドンを支払ってボートに乗ることにした。
◇ボートに乗り込む人々の様子
◇海面に近い視線から見るハロン湾の景色は、また一味違うんです
◇ボートの漕ぎ手はちゃんといます
◇船では通れないところでも、ボートは進みます
◇島にできたポッカリと開いた穴を船は進みます
海面から見上げる先には奇岩の島々。その島々は、力強い岩肌が露出していて、なんだかパワーを貰った気がする。そういえば僕が過去に訪れたラオスのバンビエンでも同じような奇岩があったことを思い出したのと同時に、中国南部からベトナム、ラオスにかけて、奇岩が数多く点在している情報をどこかで見た気がする。
ゴリラ岩
「あっ、ゴリラ岩だ」
ボートを降りて再び船に乗ると、ネットで何度か見たゴリラの顔をした岩の景色が目の前に現れた。本来ならば現場で初めて目にした方が喜びは大きいだろうが、やはり生で見るのは全然違うものだ。それはゴリラ岩だけではなく、すべてのものがそうだと思う。そこには、雨や風の音、匂い、人々の声と温度がある。街に出れば車やバイクのクラクション、商店から聞こえる店の人の声、料理の香り。すべてがネットや本では味わえないものだ。
洞窟の見学
ゴリラ岩を通過すると、とある島に停泊した。てっきり港へ帰るのかと思っていたら、ここが洞窟の島だということをガイドから知った。そうだ、洞窟の見学は申し込んでいたことを思い出した。
◇洞窟の見学は30分。ガイドの説明を受ける
◇入場料は 50,000ドン。ツアー代に含まれている
山を登り洞窟内に入った。内部に入ると少しひんやりした空気を感じる。そして青や赤、黄色などの照明に照らされた石灰が見える。この石灰がハロン湾の形成と繋がっているのが今回のツアーの見どころなのではないかと思う。
元々ハロン湾は海の中にあった話しを聞く。それは2億5千万年前のことだから気の遠くなる話しだ。その時代に生物の死骸が石灰の層を作り出した。石灰は水を通しやすく溶けやすい。川は溶け谷になり山となる。それが奇岩となったらしい。
その一方で地中に浸水した水は洞窟を掘り、水に溶けた石灰が再び固まり鍾乳石が形成される。こうして何百万年もの浸食を受け、インドシナ半島の各地で奇岩や洞窟地帯が誕生した。するとハロン湾周辺では約12万年前から大地が沈降を開始した。やがて地面は海に沈んで、奇岩のみ海に浮かぶ現在の姿があるのだとか。
◇鍾乳石といえば、つらら状を想像してしまいます
◇つらら状だけではなく、何層もの構造も見られます。こういうのを何と言うのでしょうか?
◇洞窟を出ると視界が開け、再び船に乗ります
フェリーツアーは終了
「ワタナベさん、来て良かったでしょ?」
「いや〜、良かったですよ」
ホテルのスタッフに勧められるがままに来たハロン湾ツアーだったが、どうやら1日を楽しんだ様子のワタナベさん。そんな彼に質問をしてみた。
「世界一周のゴールは決めているんですか?」
「僕、バスケが好きなんで、アメリカでNBAを見たいんです。それがゴールです」
「その他に、ここは行きたいという場所はあるんですか?」
「はい。タンザニアとケニアの国境で、チーターの狩りとヌーの大群を見たいんです」
彼は約1年かけて世界を旅する。帰国したら仕事したくなくなっちゃうんでしょうかと聞かれたが、僕には分からない。経験がないからだ。そして彼は言う。
「もう若くはないんで、旅だ出会いだ友情だみたいのはどうでもいいんです」
きっとそれらは過去に十分経験してきたことだろう。会社を退職してまで決めた世界一周だからこそ、絶対に見たいんだという強い決意をワタナベさんから伝わった。
◇世界一周中のワタナベさん。今頃はタイで予防接種を受けていることだろう。楽しい時間をありがとう
◇帰りのバスから見えた夕日。1日の終わりに夕日が見れたらそれで良し
◇バスは途中ドライブインで30分の休憩を挟み、21時15分にホアンキエム湖の北側に着いた。とても長い1日だった
最後に筆者から
あいにくの曇り空だったが、今回ハロン湾の1日ツアーに参加して良かったと心から思った。それはハノイ市街の喧騒から離れ、静かで幻想的な海に身をおけたことだ。そして旅の演出を盛り上げる船に乗れたことも満足した。さらに世界一周を旅する日本人との出会い。職場と自宅の往復では出会わない人から話しを伺えるのも旅の魅力のひとつだと思っている。ハノイに滞在し、ハロン湾へ行こうか迷っているなら、ぜひとも足を運んでみてはどうだろうか。
ハロン湾1日ツアー
ツーリストオフィス:アリババホテル1階
料金:27US$(洞窟代込)、追加の食事代:80,000ドン(約400円)、ボート代130,000ドン(約650円)、小瓶のビール1本:30,000ドン(約150円)
*ハロン湾の記事はワタナベさんの協力によって書けた。また、写真、名前の掲載には本人の許可を得た。
ハロン湾の様子を動画で公開しました
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