香港から深圳(深セン)へ電車で日帰り陸路国境越え
旅の楽しさはいくつかある。そのうちのひとつに国境越えがある。特に島国生まれの島国育ちの身としては、国境を越える喜びは他の喜びと一味違うと感じている。国境越えを旅のメインにする旅人もいるくらいだ。
今回の香港旅ーー。
それは陸路で中国本土へ移動することも目的だった。
香港の主権がイギリスから中国へ返還されたのが1997年。21年の月日が流れた。今や香港は中国なのだ。だから今回は国境越えではなく、正確には入境だ。それでも境界ラインでは、パスポートによる出入国の手続きが必要になる。なんとも不思議な制度は、マカオと並んで一国二制度のためである。
自身初めて踏みいれる、中国本土の地。向かった場所は深圳(深セン)。越境を目指して香港から電車に乗った。
- 電車での行き方
- 羅湖駅
- 陸路入境と入国カード
- 初めての中国本土
- 中国人民元へ両替
- 羅湖駅から老街へ
- 老街に到着
- メイソウ (MINISO)
- 老街の飲食物価
- タピオカの麺
- SIMとインターネット
- まとめ 〜深夜特急のあしあと〜
電車での行き方
目指す駅は越境の終点、羅湖(ローウー)駅。水色の東鉄線(East Rail Line)に乗って目指す。運賃は乗車する駅によって変わるが、彌敦道(ネイザンロード)沿いの駅から乗車すれば、約500〜600円(HK$35〜43)ほどで行ける。
東鉄線の車窓からは、多くの緑を目にすることができた。香港は超高層マンションと人の密集具合から息苦しさを覚える人も少なくないが、ちょっと中心を離れるだけで、広大な土地を目にすることができる。
羅湖駅
終点の羅湖駅に到着した。九龍塘駅からの所要時間は35分ほどだった。電車を降りると自然な流れで越境ゲートへ。ここで降りる乗客は、皆中国本土へ向かう人のようである。
それにしても中国本土を目指す人は多い。電車は数分おきに来る。一体、一日でどれだけの人が越境を行き来をしているのだろう。
陸路入境と入国カード
イミグレーションに到着した。入国カードに記入し、側にある機械で指紋を読み込んだあとに、入国審査官の元へ向かう。そもそも入国カードという読み方が正しいのか分からないが、他国の入国方法とさほど変わらない。
それでも何ら事前に情報を得なかったおかげで、よく分からないのと、楽しさが混同した体験だった。
まず、指紋を読み込む機械を素通りする人がいる。これは分からない。半ばノリ良い気分で済ました。入国カードの滞在地は日帰りだから適当なホテル名を記入すればよいが、試しにワンデイトリップと書いてみたら、何の問題もなくゲートを通過した。
初めての中国本土
駅の人の多さにイミグレでの待ち時間も覚悟したが、あっさり入境できてしまった。そして駅前の広い空間は、インターネットで見た記憶がある。そして香港より日差しが強く、澄み渡る青空に腰を抜かした。それはどんよりとした空のイメージだったからだ。まったくPM2.5とは何ぞや。
中国人民元へ両替
さて、このままでは電車も乗れなければ、買物もできない。というわけで入域したあとに両替商があったので向かった。
両替は日本円でも可能だったが、手持ちの200香港ドルほどを中国人民元に両替した。レートは悪いが、致し方ない。そして初めて手にした人民元には、すべてに毛沢東の顔がある。その紙幣を眺めては、中国に来たことを実感した。
羅湖駅から老街へ
さて、ここからどうするか。せっかく来たからには、どこかの街に出てみたい。路線図を眺めてみると、老街(ラオジエ)という駅が目にとまった。老街とは昔ながらの古い街並みのことだ。
よし、行ってみよう。
2元で地下鉄に乗り、老街を目指した。
老街に到着
老街に着いた。駅ビルはH&Mなどが入るファッションビルになっている。その名から想像する古い街並みというよりは、若者が集う街の印象が強い。
そして駅を少し離れれると、多くの飲食店が通りに並び、個性的な建物も目にした。
さらに、どんな小さな店でもWeChat決済のQRコードができるようになっている。
メイソウ (MINISO)
「ダイソーっぽくてユニクロ風味、それでいて無印良品」と評されている、メイソウがあった。それだけにパクリとネット界隈を騒がせているが、実は日本で会社設立登記され、中国・広州市で1号店が開店されたらしい。
店内に入ると、手持ちの超小型扇風機が店の真ん中にディスプレイされていた。これ、実際に深センの街を歩くと、片手に持ちながら歩く人を見かける。
老街の飲食物価
ひと通り街を歩き、飲食の値段をチェックする。
するとドリンクは一本10元から12元で、どこの店でもこの調子だ。
台湾でよく見た好きなおかずを選べるジージューツァン、ここ深センでも見かけて、ちょっと安心する。そしてその価格は、これまた安い。ついさっきまで香港にいたから、余計にそう感じるのか。いや、確かに安い。一食ドリンクつけて20元、約320円である。
どの店も決まっているかのように、どれも10元からの飲食店が並んでいる。しかし、それらのテーブルを見るとビールを飲んでいる光景に出会わないのだ。シャツを捲りあげ、腹を出しながら青島ビールを飲む中国人のおじさんなどいやしない。
仕方ない。一人で大好きな茄子料理をつまみに、青島ビールで乾杯した。英語がまったく伝わらないおじさん相手に、適当な中国語を口にする。
「ウォシャンフォピンチュウ……」
あら、ビール持ってきたよ。これだから旅は楽しい。
ちなみにご飯がついた茄子料理と、瓶ビール二本で料金は20元。どうなっているのか、これが普通なのか。酒飲みにはたまらない。
タピオカの麺
通りを歩くと、ヌードルの飲食店があった。店内に飲食スペースはなく、皆歩道で食べている。しかもほとんどが女性なのである。どういうことか。早速試してみることにした。
料金は一杯10元。ピーナッツとパクチーが乗ったヌードルだった。そしてスープの真っ赤な色。これは四川の辛さではないだろうか。
次に麺をすくう。すると麺は透明で、食感もあって美味しい。実はこの時麺の正体を分からず食べていたが、後日我が家で営むAirbnbの中国人ゲストに聞いてみると、湖南(フーナン)で生まれた食べ物で、麺はタピオカということが分かった。
そしてこの店は、女性に人気の中国で展開するチェーン店ということも分かった。どおりで女性の姿が多かったわけだ。ただ、スープは激辛すぎて、日本の女性には受けそうもないが、中国人女性の舌は強いのか。いずれにせよ筆者好みである。これがたったの10元。満足で店をあとにした。
SIMとインターネット
中国といえば、TwitterやLINE、Facebookがつながらない。これらは行ったことがなくても知識があった。
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ということで、中国でも香港でもマカオでも使えるSIMを、事前にAmazonで購入してから渡航。China Mobile というメーカーだったが、何の問題もなく使用ができた。
まとめ 〜深夜特急のあしあと〜
記憶が正しければ、沢木耕太郎さんの作品『深夜特急』のTV版の方で、主演の大沢たかおさんが深センの街を歩いていたと思う。宿泊した重慶大厦(チョンキンマンション)の宿の女の子の出身地が深セン。その街を見るため、僕と同じように電車で向かい、川を超えて深センへ入った。
そしてその時沢木さんが受けた印象は、想像以上に大きな都市と口にした。それは「未来都市を思わせるような超近代的なビルが連立していた」とも語っている。
しかし沢木さんが旅した時代から月日が流れ、近代的というよりか、日本で見るような80年代の建物と街の印象を受けた。確かにWeChat決済やmobikeもあるが、何というか……深センはもっと近未来的な印象をもっていただけに、想像とは違った街の印象である。
それはWeChatがなくても、普通に現金を使用できることも、そう思わせたのかもしれない。
と同時に中国への興味が湧いてきたのも事実である。中国をじっくりと旅してみたい。観光客がいない入りにくい酒場にも入ってみたい。他の都市はどうなっているのだろうか。たかが半日の滞在だったが、そう思わせてくれた。
バスでのんびり旅する期間がなければ、2018年9月に開通する、香港と広州を結ぶ高速鉄道に乗る旅でもいい。そう思わせてくれたのが、今回の深セン日帰り旅だった。
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