客の9割がYOU?横須賀市汐入の立ち飲み屋「ヒデヨシ商店」でちょっと一杯異国の旅
2016.02某日
品川駅から京急の快特に乗ること約1時間。神奈川県横須賀市汐入に来た。街の形状は山と海に囲まれ、古くからの商店街で構成されている。そして横須賀にはアメリカ軍の横須賀基地があり、いわゆる「基地の街」としての顔もある。そんな横須賀市汐入の駅前に客の9割が外国人という、酒屋の立ち飲み屋がある噂を聞きつけて来たしだいだ。
客の9割がYOU?ヒデヨシ商店とは?
汐入駅から北へ徒歩1分、見てそれと分かる酒屋「ヒデヨシ商店」は見つかった。通りから店内を覗くと午後4時にもかかわらず、すでに客は埋まっており一杯片手に賑わっている様子だ。
店内に入ると左手に奥まで伸びたカウンターがあり、中央には細長いテーブルが2つ。正面奥にテーブル代わりの業務用冷蔵庫がある配置だ。店内右手には乾物などが販売されており、酒屋としての営業は角打ちスタイルの立ち飲み屋として存在している。
客層は噂通りに外国人だらけで、客の9割がYOUで埋まっており、そのほとんどが横須賀基地に所属するアメリカ兵と思われる。これはいい。日式角打ちスタイルで外国人に囲まれて飲む行為は、ちょっと異国の気分に浸れる。
嬉しい大瓶ビールの料金は?
まず注文したのはビールだが、メニューは大瓶、中瓶、小瓶と3種類揃っており、さすが酒屋だなと頷くしかない。そして驚かされるのはその料金だ。
・大瓶:390円
・中瓶:350円
・小瓶:250円
居酒屋に飲みに行き大瓶を置いている店は多くはない。それがヒデヨシ商店で飲めば390円の料金で飲めるのだ。これには思わずテンションがあがってしまった。さらに銘柄はアサヒ、サッポロ、キリンラガー、キリン一番搾りの4種類。もうこの時点でノックアウト。心を打たれる。
壁一面に1ドル紙幣の理由とは?
店内の壁に目をやると無数の1ドル紙幣が目立つ。それは壁には収まりきれなかったのか、天井までにも続いている。その1ドル紙幣をよく見ると、なにやらサインが書かれているではないか。その理由はヒデヨシ商店を愛したアメリカ兵が、日本での任期を終え、1ドル紙幣に想いを込めたものだそうだ。ヒデヨシ商店が多くのアメリカ兵に愛されていることが伺える。
◇壁一面に貼られた1ドル紙幣
◇そこにはヒデヨシ商店を愛したアメリカ兵からのメッセージが書かれています
つまみは全部100円台
安いのはビールだけではない。つまみも安くおすすめはおでんだ。具材につゆがしっかりと染みこんだ品はどれもサイズが大きく1品100円。このサイズで100円というのは、そんじょそこらの居酒屋ではまずお目にかかれない。
◇特大サイズのおでんにテンションがあがります
メニューにはミミガーもある。ミミガーとは沖縄料理のひとつで、豚の耳の皮を使った料理だ。味付け方法は色々あるが、ヒデヨシ商店では酢の物で提供している。ピリッとくる酢の酸味とコリコリとした豚の耳の食感が抜群だ。料金は150円。思わず頭がさがる思いだ。
◇酸味の効いたミミガーの味は抜群
隣にいたYOUにミミガーをお裾分けすると、初めて口にすると言う。彼らは焼き鳥なんかでも内臓系は苦手なのは知っているが、耳だから大丈夫だろうと思っていたらどうも酢が苦手のようだった。さらに隣の隣にいたYOUは豚の耳は食べないが、鼻なら食べると話す。耳と鼻の違いに差はないように思えるが、YOU曰く厚みの違いに好みが分かれるんだとか。食の文化と好みはほんとに面白いものである。
その他のメニュー
・豆腐:130円
・かぶ:100円
・数の子松前漬け:150円
・菜の花にしん:160円
・柴漬け:100円
YOUはチューハイ好き?
テーブルに並んだ色鮮やかなプラスティック製のコップ。YOU達にビールを飲む姿はなく、全員カラフルなドリンクを飲んでいる。一体そのドリンクはなにかと伺うと、焼酎をジュースで割った飲み物、いわゆるチューハイだった。グレープ色はグレープジュース、グリーンは青リンゴやメロンといった具合だ。
そのチューハイを飲んでいるYOUたちの姿を眺めていると、皆チビチビと飲んでいるではないか。その様子はまるでバーボンを飲んでいるかのようだ。酒に豪快なイメージがあるアメリカ兵とはかけ離れる。そうして長い時間酒を楽しむのだろう。
僕はビールが好きだが、彼らに習いチューハイを飲んでみた。しかし、その味は学生の宅飲みを想像してしまうような味で好みではなかった。そこで、YOUたちのチビチビ飲みに切り替えると、まるでバーボンのような味わいがするではないか。不思議だ。いや、もう酔ってきたのかもしれない。
◇チューハイは決してこのように飲んではいけません。バーボンのようにチビチビと飲むのがアメリカンスタイルなんです
チューハイのメニュー
・グレープ、オレンジ、メロン、レモンティー、コーラ、緑茶:各400円+コップ代50円
・青リンゴ、レモン、ライム、うめ、しそバイス:各340円+コップ代50円
・グレープフルーツ、パイン、アセロラ、ウーロン茶:各320円+コップ代50円
会話は当然英語なYOUとの交流
客との距離感が近いため、YOUたちとの交流も計れる。そんなとき会話は当然英語になってくる。英会話に不慣れな僕も単語を繋ぎあわせ、ときにはスマートフォンの翻訳アプリを開いて参戦する。飛び交う英語にさらに酔いが回ってくるが、それでもYOUとの交流は楽しい。
1人のジャーマニーが足に入ったタトゥーを見せてこう言う。
「私はイギリスを恐れるけど、蛇はもっと怖がっている」
イギリスとドイツは仲が悪いのか。確か第一次世界大戦と第二次世界大戦で戦争をしたと思ったが、酔いが回り頭も回らない。するとコインゲームをやろうと話してきた。ゲームの中身は単純だ。100円玉の表と裏を当てるだけだった。彼らはこういうゲームが好きなのは、沖縄の基地の街で飲んだときに知っている。
このようなゲームをすると大概負けた方が一杯おごったりするものだが、ここのYOUたちは何もなく拍子抜けした。健全なYOUたちだ。それでも勝った負けたで盛上がれるYOUたちの性格を僕は好きなんだな。
さて、そろそろ店をあとにしようと壁の張り紙に目をやると、なんと朝の9時から営業しているではないか。一瞬目を疑ってしまったが、ほんとのようだ。朝までやっている酒場はあるが、朝からやっている酒場はそう多くない。僕は思う。これって健全な酒場のスタイルだよなと。店員もきちんと寝ないと朝から営業できないし、客も21時過ぎには帰宅の途につく。誰が決めたか知らないが、酒は夜だけに飲むものではない。昼間に飲んで夜は早く寝る。この方が翌朝に酒は残らない。
感想
「異国の雰囲気が味わえるヒデヨシ商店は、毎日通いたくなる酒場だった!!」
最後に筆者から
この記事を読んでいただいてる皆さんも、ぜひ「ヒデヨシ商店」で昼からYOUたちに囲まれて一杯飲んでみてはいかがでしょうか。店内に入れば異国の雰囲気を味わえること必死です。横須賀に行ったついでではなく、それ目当てで行く価値があると思いますよ!!
ヒデヨシ商店
〒238-0042 神奈川県横須賀市汐入町2ー45
営業時間:9:00〜21:20(ラストオーダー21:00)
支払いはキャッシュオン。トイレは女性のみ店内。男性は外の公衆トイレを使用。
◇ヒデヨシ商店の場所